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2011.02.10 *Thu

設計のセンス? 第二弾、ロボットの強度と応力集中

第二弾ですよ~~!

前回、強度について大雑把に説明しました。

さて、ロボットに作用する力をどうやって見積もるのか?
最も簡単なのが、目的によってどんな力が作用するか見積もる方法です。
”机”の例が簡単ですね。例えば50kgの物が載ります。
これなら簡単ですね。”どこに” ”どんな” 力が作用するかは明確です。
では、ロボットに作用する力は?ロボットの目的は??

例として、ドアを開閉するロボットアーム(マニピュレータ)の強度設計を考えます。
目的は”ドアを開けること。”です。簡単の為、”どれくらいの早さで”という事は考えません。
ゆっくりドアを開ける際に作用する力を見積もります。
測定してみると、ドアを引くために要する力が3[kg]でした。そして、ドアを捻る力は450[N・mm]でした。
この力を用いて強度計算をするというのが、目的から見積もる方法で。

次に、アクチュエータ(モータ等)の出力から、強度を見積もる方法です。
これは、アクチュエータの最大出力が作用した際に、どれくらいの力が作用するかを考えて強度を見積もります。

その他、様々な方法でロボットに作用する力を見積もることができます。
さて、ロボットに作用する力が分かった所で、どうやって計算すればいいのか?
ロボットのように、複雑な形状の部品が組み合わさって構成される構造物の強度計算は、とても手では計算できません。

そこでよく用いられるのが有限要素法(FEM:Finite Element Method)という手法です。これは、複雑な形状の物を三角形や四角形などの簡単な形状の集まりとして表現し、そのモデルに外力を与えた際の応力分布や変形等を解析する手法です。
FEMについての細かい話は、弾塑性力学の話なんかも絡んでものすごく面倒くさいので、省きます。
ロボコン部品ガイド2011のコラムにも簡単に書いてみたので、機会があれば是非読んでください。(^^)

FEM解析の例を紹介します。

FEM.pngFEM2.png

このように部品を三角形の要素に分割して、どこにどのような力が作用するかを指示すると、応力の分布が色で表示されます。
赤い箇所に、より大きな応力が作用しているという事を表しています。

こんな感じでロボットの”安全率”が見積もれたとします。
さて、ロボットの安全率はどれくらいにすればいいのでしょうか?
これは、ロボットの制御方法や用途によって異なると考えられます。
高速で動作して、様々な外力が作用するようなロボットの安全率は高くしなければなりません。
外力に対してコンプライアンスな制御を行っていれば、安全率は低くできるかもしれません。
このように、制御を考慮した安全率というのは、非常に困難です。
前回、”ロボットの強度計算は無理”と書いたのは、この為です。
ある程度の”当たり”をつけることは出来ても、厳密な計算は出来ません。

では、ロボコンではどうでしょう?
マイコンカーが壁に衝突した際。
どれくらいの力?どこに作用する?そんな事は到底分かりません。
ぶつかる角度や壁の材質なんかによって大きく左右されます。
従って、強度設計なんて到底出来ません。
では(前回も書きましたが)、材料力学や構造力学が全く無駄か?そんなことはありません

マイコンカーを設計します。
センターピボット方式のステアリングならば、ステアリング角を取る為にシャーシの一部が細くなってしまいます。
こんなカンジで。(少々極端ですが。)
シャーシ2


予想や経験からも分かると思いますが、走らせていると赤く丸付けした箇所からポキっと折れそうですよね。
こんな極端な角度を付けたら、センス悪いですよね?まだ、こっちの方がマシです。
シャーシ

なぜ、上の方がダメなのか?下の方がマシなのか?材力なんかを勉強した事があれば分かるハズです。
応力集中という現象ですね。

下の図を見てください。
ita2.png



どちらの試験片も板厚は同じ。試験片Aは幅10mmの板。試験片Bは幅20mmで、細くなっている箇所が10mm。
これを鉛直方向に引っ張った際。どちらの方が強いのでしょうか?
試験片A?試験片B?同じ??
材料の”強さ”というのは、一般的には○○[MPa]で示されます。
ここで、MPa(メガパスカル)とは?
1[Pa]とは、1N/㎡ のことです。同様に、1[Mpa]とは、1N/㎟ です。
つまり、材料の強度とは、単位面積当たりの強さであり、断面積に比例するわけです。
面積が倍になれば、強度も倍です。
従って、上の2つの板のそれぞれ断面積は等しい為、同じ”強さ”であるハズです。
しかし、上の2つの板の強度は等しくありません。それはなぜ?
それでは、それぞれの材料に力をかけた際の応力分布の解析結果を見てみましょう。

test.png

結果は一目瞭然。試験片Aは均等に応力が分布しているのに対し、試験片Bの応力分布は不均一ですね。
極端な角度が付いている箇所が赤く、応力分布が不均一なことが分かります。
ここで簡単に、解析パラメータの説明をします。
解析条件は、試験片の鉛直方向に10000Nの荷重を負荷しました。
応力タイプはフォンミーゼス(Von Mises:以下、ミーゼス)応力。
ミーゼス応力とは、相当応力説を用いた応力で、鉄やアルミニウム等の延性材料の解析に使われます。

それぞれの試験片の最大値を比較すると、試験片Aはおおよそ200[MPa]、試験片Bはおおよそ600[MPa]と、おおよそ三倍の応力を生じていることが分かります。
従って、試験片Bは、試験片Aの3分の1の強度しかないと言えます。
なぜ、このようなことが起きるのか?同じ力を加えているのになぜ、試験片Bの方により大きな応力が作用しているのか?
応力とは、単位面積当たりの力(N/㎡)のことです。この単位面積当たりの力を断面積で積分すれば、力になります。
イメージとしてはこんな感じです。

応力分布


青色の断面の応力分布を考えます。
応力は赤い矢印で、応力の平均値を緑色の線で表します。
試験片Aの応力は均一であるのに対して、試験片Bの応力は、かなり偏っていますね。
これが応力集中という現象で、切り欠きに近い箇所の応力が大きくなっています。
ここで注目したいのが、応力の平均値です。試験片Aと試験片Bに負荷する力の大きさが同じであり、
また断面積が同じであれば、この応力の平均値は等しくなります。
従って、応力の積分値である力が等しいということになります。(そうならなければ矛盾している。)

このように、切り欠きが入るだけで強度は格段に下がります。
では、形状が変化する場所は必ず三倍の応力がかかってしまうのでしょうか?
そんな事はありません。重要な事は、どうやって細くなっているかです。
下の図を見てください。
test3-2.png

試験片Cというものを用意しました。
これは、試験片Bと同様、幅20mmから幅10mmまで細くなっていますが、弧を描いて細くなっています。
ただ、それだけです。これを解析してみるとこのようになります。

test3.png

応力の最大値がおおよそ250[MPa]となっています。試験片Aと比較すると、やはり大きな値ですが、試験片Bと比較すると、かなり低い値であることがわかります。
試験片Bも、試験片Cも応力集中が生じていることは確かです。しかし、試験片Bの方がより顕著に応力集中が起きています。
このことから、どうやって形状が変化するのかという事と、応力集中には大きな関係がありそうな事が分かります。
これをしっかり説明する為には、破壊力学の話なんかも入って眠くなりそうなので、省きます。

私たちの身の周りの”物”を見てみると、確かに形状が変化している箇所はゆるやかな曲面になっている”物”が多いはずです。特に、大きな力が作用する”物”ほど。
バットやラケットは、グリップにかけてゆるやかに絞られ、スパナなどの工具もゆるやかな曲線が描かれています。
”モノ”の”カタチ”には意味があります。
材料力学の公式を、丸暗記しても何の意味もありません。重要なのは、どういったことが起こるのか、理解してイメージすることです。式の“意味”を理解することです。
応力集中がどんな近似式によって求められるか?もちろん、知っていた方が良いですが。
それよりも、どうすれば応力集中を緩和できるのかという”手段”を知ることが重要です。
極端に形状を変えず、曲面をつける(Rをつけると言いますね。)また、その曲率半径は大きい方が良い。
それだけで、部品の強度はかなり増はずです。

こういった現象を知り、設計の細部に生かす事。
そんなテクニックが、設計のセンスのなんじゃないかなーと、考えています。

そんなワケで、
第三弾、力の向きと軽量化 に続きます!!
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COMMENT

有限要素法
昔MZ80Bでプログラム作成したことがあります。建築用の構造解析プログラムです。約三十年前です。
その後、PC9801に移植したことが。計算に数時間かかったような気がする。複雑なものだと数日かかった。
形状入力も数日、三角形に材料を分解して座標を入力するのが大変だった。
Matrixの計算に時間がかかったような気がします。9801が1MIPS程度だったかな、とにかく計算の効率化に苦労してプログラミングしてました。
今使っている最速のMacは8000Mips、6000Flops位あるので再挑戦かな。
今はそんな気力も体力も無いので、解析ソフトを手に入れた方が速いかな。
2011/02/11(金) 22:03:13 | URL | 能登半島最先端技術者 #- [Edit
Re: 有限要素法
>能登半島最先端技術者さん。
MZ80B・・・実物、見たことありません。
僕が最初にもらったパソコンは、Windows3.1が走っていました。液晶の残像がすごかったなぁ・・・
パソコンのCPUがZ80だったなんて、今となっては信じられないですね(笑)
構成方程式なんかは割と簡単に組めそうですが、要素分割のアルゴリズムは面倒くさいですよね。。。
学部の研究室では、先生がFORTRANでFEMプログラム組んでました。。。

今のパソコンは、やたら速ですよね。
あ、あとSDカードの容量が64GBとか、信じられない時代ですよね。。。

僕が卒論で解析したロボットアームなんかは、50万要素くらいありましたが、数分で処理が終わりました。
数百万要素にしたら、やたら時間かかりましたケド。。。

形状データ取り込みの関係で、CADソフトに解析機能が統合されたモノがお勧めです。
Inventorなんかは、ANSYSの解析が組み込まれていて、アカデミック版は確か3年ライセンスで1~2万円と、比較的安価ですよ。
2011/02/13(日) 04:25:34 | URL | ザビエル #- [Edit
狭いですよね
こんにちは。興味深く見せていただきました。この内容の話、楽しいですね。

ステアリング軸のすぐ後ろの部分のくびれは確かに存在します。
フロントトレッドを小さくするとなおさらくびれは狭くなり、大変になります。

そこで私たちのモデルでは一番上の解析モデルのように一番細い部分に柱を追加しました。
ザビエルさんの初期条件では一番後ろの部分に柱を入れて、そこを支点にたわむモデルになっていますが、
一番細い部分に柱を入れると結構頑丈になります。
(支点がステア軸中心と次の穴のちょうど中間くらいになり、荷重と支点の距離が格段に縮まります)

その結果、曲げモーメントが格段に小さくなります。

ただ、そこに柱を入れるのがかなり面倒です。
ステア軸にとりつけた平歯車に穴をあけ、ステアリングがきられても柱に干渉しないように
しなければなりません。

フレーム全体の話ですが、ネジとネジの直線上の部分だけ必要で、
そこに力の流れがあると考えています。
力の流れがない部分はすべて不要なので省くと20gくらいのフレームになってしまいます。

他には、剛性は一番弱いところで決まるので、後ろの部分をどんなに広くとってもねじれ量は
そんなに変わらないと思っています。
従って私たちのマイコンカーのフレームは細く、魚の骨になってしまいました。
進化し続けた生き物のような形になっているので、それで合っているんじゃないか?
ということになっています。
2011/02/13(日) 10:00:37 | URL | 梅鉢 #SFo5/nok [Edit
Re: 狭いですよね
>梅鉢さん。

柱をを入れるというのは、リムが入る感じなのでしょうか?
柱を入れて断面を立体的にすると、断面係数が高くなり、剛性があがります。
(その辺の話は、第三弾で書く予定です)
魚の骨みたいなシャーシだと、内骨格構造なんでしょうか?
僕のマシンでは、シャーシを上下に分けて、箱のような形状にしています。
モノコック(外骨格)構造をイメージして、造りました。

センターピボット方式だと、首の構造に苦労しますが、ソコにみなさんの個性が出ていて、色々なマシンを見るのが楽しいです。(^_^)

今年は大会に出て、みなさんと情報交換したいです♪
2011/02/13(日) 14:01:29 | URL | ザビエル #- [Edit

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